従業員を採用するに際し、その適格性を判断するなどのため、本採用の前に一定の「試用期間」を設ける場合があります。この「試用期間」を設けるも設けないも各企業の任意であり、そのあり方について労働基準法の規定は特にありません。
したがって「試用期間」を設ける場合には、就業規則等において、試用期間の長さ(期間の延長または短縮を含む)、試用期間中の解雇、本採用の手続き、試用期間の扱い(勤続年数への通算の有無)などを定めることになります。
試用期間の長さは、その目的が本採用とするかどうかの適性判断期間であることから、2、3カ月程度とするのが多く、まれに6カ月とする場合もあるようです。長さについては法的な制限はありませんが、この間は、身分が不安定であることから、必要以上に長い期間を設定すること問題で、一般的には長くても1年程度にすべきでしょう。そのため就業規則の条文では、「新たに採用した者については、採用の日から3カ月間を試用期間とする。
ただし、特殊な事情がある場合は2カ月を超えない範囲で試用期間を延長することがある」などのように、通常は2、3カ月としたうえで、試用期間の延長の規定を設けて、特殊な事情がある者に限って、その期間を延長するようにし、さらに延長する場合の最長期間についても定めておくとよりよいでしょう。逆に、「試用期間を短縮し、または設けないことがある」などのように、短縮の規定についても設けておきます。
次に、試用期間中の解雇に関して、本採用後の解雇事由よりは広範に認められるものとされていますので、就業規則等において、「試用期間中の解雇」事由を通常の解雇事由とは別にその基準を明記しておくとよいでしょう。
なお、労働基準法上では、「試用期間中の者を14日以内」に解雇する場合には、解雇予告または予告手当の支払いをせず、即時に解雇できるとされていますが、試用期間中の解雇基準を設けた場合でも、採用の日から14日を超えてから解雇する場合には、通常の解雇手続き(解雇予告または予告手当の支払い)が必要になります。
その他、試用期間中の賃金や昇給、賞与などの処遇については、就業規則や労働契約の定めによりますので、特に本採用後の処遇と異なる基準をする場合には、就業規則等に明記しておくようにします。
また、一般に、勤続年数によって適用の有無が決まることとなっているもの(退職金の算定期間や休職制度等)に対して、試用期間を勤続年数として算入するのかどうかについても就業規則に明記しておくようにします。
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